ウェブ上にはメールマーケティングを行う際に役立つヒント、コツ、戦略、ハウツーなど、情報が溢れています。
ですので、「これ以上、ありきたりのメールマーケティングガイドが必要なのか?」と問われたら、正直に「いいえ」と答えるしかありません。だからこそ、このガイドでは冗長な情報を排除し、初心者でも理解できる、本当に実践的な知見を共有することにしました。
さあ、メールマーケティングをいかに活用できるか見ていきましょう!
メールマーケティングとは?
メールマーケティングとは、オプトインしたオーディエンスに向けて関係構築、最新情報の共有、製品・サービス・イベントの宣伝などを目的としてメールを送信することです。
OptinMonsterによる以下の統計データが表すように、メールマーケティングには多くのメリットがあり、デジタルマーケティング戦略の基礎として多大な利益をもたらしてくれます。
- 2024年現在、世界のメールユーザー数は45億人を超え、2027年には48億人に達すると予測されています。
- 2023年の調査では、ユーザーの88%が1日に複数回メールをチェックし、そのうち39%は1日に3~5回チェックしていることが明らかになりました。
- メールマーケティングは1ドルの投資に対して平均36ドルのリターンをもたらしてくれます。これは3600%のROIに相当します。
- 消費者の約59%が、マーケティングメールが購入決定に影響を与えると回答しています。
- 消費者の60%が、ブランドからの連絡手段としてメールを好んでいます。
- 自動化されたメールは、自動化されていないメールに比べて320%多くの収益を生み出します。
メールマーケティングを実施するためには、大企業、中小企業、そして個人事業主は、一般的にメールキャンペーンと呼ばれる、複数の受信者に対する一連の個別メッセージを送信します。
次のセクションでは、さまざまなメールキャンペーンの種類を取り上げ、いくつかの成功事例をご紹介していきます。
メールマーケティングキャンペーンの種類(事例付き)
顧客エンゲージメント、顧客維持、ブランド認知度の向上において、4種類のメールキャンペーン(ニュースレター、シーズナル(季節性)、ウェルカム(歓迎)、そしてリエンゲージメント(再活性化))が基本となります。これらが重要な理由は以下の通りです。
ニュースレターキャンペーン
ニュースレターは、オーディエンスに情報を提供し、エンゲージメントを維持するための定番ツールです。ドン・サドラー氏によると、ニュースレターは「事実上あらゆるビジネスにとって最高のマーケティングツールの一つ」なのです。
というのも、企業はニュースレターを通じて、最新情報、価値あるコンテンツ、プロモーション、業界ニュースを定期的に共有し、オーディエンスとの一貫した関係を構築することができるからです。
例として、Airtableのメールニュースレターを見てみましょう。

このニュースレターはかなり標準的なものですが、関連性の高いコンテンツ、視覚的に魅力的なデザイン、明確なCTA(Call to Action / 行動喚起)が組み込まれていて、効果的です。
またイベント告知、ガイド、顧客事例など、さまざまな種類のコンテンツが含まれており、多様なオーディエンスの関心に応えています。
多少のパーソナライズを加える余地はありますが、それでもこのニュースレターは十分に役割を果たしているといえます。
シーズナルキャンペーン
シーズナルメールは、祝祭日など特定の時期を活用して、タイムリーで関連性の高いプロモーションを提供するものです。このようなプロモーションメールキャンペーンは消費者の関心の高まりをうまく利用するものなので、一般的にエンゲージメントが高く、購買に関する切迫感の醸成、そして売上の増加につながります。
ただし、その性質上、シーズナルキャンペーンは数ヶ月前から詳細に計画する必要があります。このトピックについては、メールマーケティング専門家のタネル・ランド氏が詳しく解説しています。
例えば、スターバックスのような大企業のシーズナルキャンペーンは、優れた事例として参考になります。

スターバックスは、季節限定のコーヒーと同様に、季節のメールにも遊び心を取り入れているのが分かります。「チームパンプキン」対「チームアップル」というテーマは個人の好みに訴えかけ、お気に入りのフレーバーに親近感を感じるよう促し、感情的なエンゲージメントを高める効果があります。
さらにこのメールには、「自分に合った味を見つけて注文する」という明確なCTAがあり、下部のUber Eatsの割引は切迫感を生み出しています。
全体として、特に目新しさはありませんが、注目を集める堅実なシーズナルプロモーションといえます。
ウェルカムキャンペーン
ウェルカムキャンペーンは、購読者が最初に受け取るコミュニケーションなので、購読者との関係性の雰囲気を決定づける役割を果たします。初めて送るメールでは、ブランドを紹介し、購読者が何を期待できるかを共有し、温かくパーソナライズしたコンテンツを提供するのが理想的です。
加えて、心理学に基づくヒントを使って強力なウェルカムキャンペーンを作成すれば、開封率とエンゲージメントの可能性を高められるはずです。

例えばSudsのウェルカムキャンペーンメールは、魅力的なトーンとインセンティブ、明確なブランド価値を組み合わせています。
メッセージ内ではすぐに「ウェルカムトリート」として割引クーポンを提供しているので、最初の購入が促されます。
また、Suds独自のセールスポイントを強調し、製品を試すべき理由を説得力を持って新規購読者に提示しています。
リエンゲージメントキャンペーン
リエンゲージメントキャンペーンは、受信者の関心を復活させ、リストのチャーン(離脱)を減らすために不可欠です。なぜなら、CRMツールやメール自動化の助けを借りてこれらのキャンペーンを実施すると、非アクティブな購読者がブランドと再びつながるきっかけを作り出せるからです。特別オファーを提供したり、リマインドをしたりすることで、貴重な連絡先を維持し、メールリストを最大限に活用できるのです。

上のStravaのリエンゲージメントメールは、切迫感、パーソナライズ、そして明確なメリット提示の組み合わせで、ユーザーにプレミアム機能の利用を促しています。
「Become a Subscriber」(購読者になろう)という直接的なCTAで、押し付けがましくない形でオファーを強調しています。またレイアウトが分かりやすく整理されているので、見やすい魅力的なコンテンツになっています。
なお、ここで説明した4種のキャンペーンに加えて、メールマーケティングにはトランザクションメールも必須です。トランザクションメールは、うまくパーソナライズした形で顧客体験を向上させ、エンゲージメントの機会を作り出すのに最適です。
トランザクションメールについてさらに詳しく知りたい場合は、当社の専用記事をご覧ください。
メールマーケティングのメリット
ここまででメールマーケティングの定義をご説明し、いくつかの事例もご紹介してきましたが、まだ少しふに落ちないところがある場合、以下のメリットの一覧がお役に立つかもしれません。
費用対効果が高い
メールマーケティングは一般的に、広告やSEO、SMM(ソーシャルメディアマーケティング)などの他のチャネルよりも手頃な価格で実施できるので、オーディエンスにリーチする方法としては費用対効果が高いツールです。さらに、無料のDIYキャンペーンから、より高度で高コストなキャンペーンまで、さまざまなやり方があります。メールマーケティングにはこのような柔軟性があるので、ビジネスの規模にかかわらず、どんな企業でも予算に合わせて効果的なソリューションを考案できるのです。
パーソナライズが可能
パーソナライズの方法は、受信者の名前をメールに追加するという単純なことから、AIを活用した高度な戦略まで多岐にわたります。ユーザーのインタラクション、好み、行動に基づいてコンテンツが動的に調整されるハイパーパーソナライゼーションも可能です。また、共有の特性や活動パターンに基づいてオーディエンスを特定のコホートにグループ化するなど、詳細なセグメンテーションも実施可能です。
売上を促進できる
メールマーケティングを実施すると、例えば、カゴ落ちリマインダー(ユーザーに購入を完了させるために割引を提供するフォローアップメール)を送信できるので、売上の向上につながります。また、前述のパーソナライズと詳細なセグメンテーションを有効活用して、カゴに残された特定の商品や顧客の閲覧・購入履歴に合わせてメールを調整すれば、メッセージの関連性を高め、コンバージョン(成約)の可能性も高められます。
成功度の測定が簡単
メールマーケティングプラットフォームは通常、開封率、クリック率などアナリティクス(分析)に関する洞察を提供しているので、これらのデータを基にキャンペーンのパフォーマンスを追跡し、適宜アプローチを調整できます。
ROIが高い
1ドルあたり平均36~42ドルのROIを誇るメールマーケティングは、最も収益性の高いマーケティングチャネルの1つです。有料広告やソーシャルメディアとは異なり、メールマーケティングは既に関心を持っているオーディエンスを対象にしているため費用対効果が高く、絶えず変化するアルゴリズムへの依存度も低いツールです。
ウェブサイトへのトラフィックを生成できる
新しいコンテンツやオファーのリンクを含むメールは、既存のオーディエンスを再エンゲージし、より多くの訪問者をサイトに呼び戻すのに役立ちます。これらの訪問者は既に購読者リストに載っているのですが、特に促されない限り定期的にウェブサイトを訪れることはない場合が多いでしょう。新しいブログ記事、製品の発売、限定セールに関する最新情報を送信することで、ウェブサイトへの再訪を促せます。
既に関心のあるオーディエンスにリーチできる
EU一般データ保護規則 (GDPR)やCAN-SPAM法などの規制により、メールマーケティングメッセージはオプトインした購読者にのみ送信できます。よって、既にあなたのビジネスに関心を持っている人々をターゲットにするマーケティング手法として非常に効果的です。
メールマーケティングのデメリット
上記で説明したようにメールマーケティングには多くのメリットがあります。ですが以下のデメリットも認識しておくことが重要です。
競争が激しい
メールマーケティングは非常に多くの企業が活用しているツールなので、複数の企業が同じオーディエンスにリーチし、エンゲージするために競争しています。強力なメールマーケティング戦略を持つ大手ブランドは、小規模の企業を圧倒する可能性があるため、メールマーケティングのみで特に目立った業績を上げるのは難しいのが現状です。
多くのスパム法規制を遵守しなければいけない
スパム法の遵守は必須で、すべてのメールマーケターに適用されるのですが、法規制は複雑で、地域によって内容が異なるので注意が必要です。これらの法律を遵守しないと、罰金が科されたり、メール送信が禁止されたりする可能性があります。
スパム送信者として判断されるリスクがある
キャンペーンを頻繁に送りすぎる、関連性のないコンテンツを送る、メール送信者の要件を満たさない。これらはすべて避けるべき行為です。そうでないと、迷惑メールとして判断されるので、到達率が低下し、メールマーケティングが失敗してしまう可能性があります。
購読者の疲弊
過剰にメールを送信したり、送信のタイミングが悪かったりすると、オーディエンスは不快に感じることがあり、購読解除率の上昇やエンゲージメントの低下につながります。時間が経つにつれて、ターゲットオーディエンスにリーチしづらくなるので、メールリストの有効性が下がり、メールリストの価値も下がっていくでしょう。
サイズの制限
メールサイズには制限があるので、大きな画像、添付ファイル、またはマルチメディア要素を存分にメールに組み込めない場合があります。サイズ制限を超えると、一部のメールクライアントによってメールが切り捨てられたり、送信が遅延したり、拒否されたりする可能性があります。
メールマーケティングはいつ利用すべきか?
コスパが良い方法でオーディエンスとつながり、売上を促進し、ウェブサイトのトラフィックを増やしたい企業にとって、メールマーケティングは非常に有益なツールです。ただし、大いに効果を発揮し、投資に見合う結果を生み出すには、いくつか大切なポイントがあります。
これらを入門・中級・上級レベルに分けて、以下で解説していきます。
入門レベル
- トラフィックまたはリードの源泉
メールマーケティングを開始する前に、まずはオプトインする準備ができているオーディエンスが必要です。これには、SEOトラフィック、SNSのフォロワー、YouTubeの視聴者など、ウェブェブサイトへの訪問につながるチャンネルが重要です。新しいリードを安定して供給してくれる源泉がなければ、メールリストは停滞してしまうので、この点はおろそかにできません。 - 予算とリソース
メールマーケティングは費用対効果が高いツールですが、全く費用がかからないわけではありません。DIYアプローチを取るか、代理店にアウトソーシングするか、社内チームを雇うかどうかにかかわらず、ある程度の時間とリソースは必要です。メールマーケティングを「時間とともに成長する長期的な投資」と見なすと良いでしょう。 - 顧客維持とリエンゲージメントの機会
既存の顧客を再エンゲージする際に、メールマーケティングは効果的です。たとえば、カゴ落ちリマインダーを送信すると、失われた売上を回復できます。同様に、SEO監査を提供した後にSEOコンテンツ戦略を提案するなど、サービスをアップセルまたはクロスセルすると、顧客のエンゲージメントの維持と収益の増加につながります。 - 法的要件と到達率に関する要件に対応する準備を整える
EU一般データ保護規則やCAN-SPAM法などの法的規制の遵守は、罰金を回避し、メールが受信トレイに確実に届けるために不可欠です。さらに、ドメインのウォームアップ、バウンス率の管理、クリーンなメールリストの維持は、長期的にメールの到達率を向上させる上で成功の鍵となります。
中級レベル
- 製品ローンチや新サービスの提供
メールマーケティングは既存のオーディエンスと直接やり取りする機会を作り出してくれるので、新製品やサービスをローンチする際に非常に有効です。たとえば、Mailtrapがメール送信テストソリューションから完全なメール配信プラットフォームへと拡大した際には、購読者ベースを対象としたターゲットを絞ったメールキャンペーン重要な役割を果たしました。 - マーケティングチャネルの多様化に取り組む
絶え間ないGoogleのアップデート、コストの上昇、AI搭載検索ツールなどの検索行動の進化を考慮すると、マーケティングをする上でSEOや有料広告だけに依存するのはリスクがあるでしょう。一方で、メールマーケティングはこれらの変動の影響を受けない安定した直接的なコミュニケーションチャネルを提供してくれます。
上級レベル
- 一次的でユニークな顧客データ
プライバシー法が厳格化するにつれて、サードパーティデータへの依存はますます困難になってきています。メールマーケティングは、オーディエンスから直接ファーストパーティデータを収集し、他のチャネルでは得られない顧客の行動や好みに関する洞察を入手する手段として優れています。
それでは、メールマーケティングを実装する際の具体的な手順について、次のセクションでご説明します。
メールマーケティングのやり方
メールマーケティングキャンペーンは非常に有効なツールですが、うまく実施するにはいくつかの手順を踏む必要があります。これから、各ステップを順番に具体的に解説していきます。
1. 明確な目標・目的を設定する
既に多くのキャンペーンを立ち上げたことがある場合でも、または経験がまったくない場合でも、明確で達成可能な目標の設定は欠かせません。初めてメールマーケティングを行う場合、初期の目標はシンプルで変更可能なものにしましょう。やり方を少し変えたりして色々と実験するのも大切なプロセスの一部なのです。
例えば、次のような基本的な目標・目的を設定します。
- 購読者の増加(例:四半期末までに購読者1,000人を達成する)。
- エンゲージメントの向上(例:開封率30%、クリックスルー率10%を達成する)。
- 顧客ロイヤルティの向上(例:リピート購入の増加またはチャーンの削減)。
- オーディエンスの好みについてさらに学ぶ(例:アンケートを通じてデータを収集したり、ユーザーの行動を追跡したりする)。
どんな目標が適切か分からない場合は、ケーススタディや競合他社のキャンペーンを見たり、オンラインコースの教材や、このConstant Contactの記事などのブログコンテンツを読んだりして、リサーチすることをお勧めします。
最後に、送信するすべてのメールから学習するよう心がけましょう。つまり、メールを送るごとにデータを収集し、適宜調整を行い、柔軟に目標達成を目指しましょう。経験を積むにつれて、より具体的な期待値を設定できるようになるので、目標設定もしやすくなるはずです。
2. オーディエンスをセグメント化し、メールリストを構築する
目標を定めたら、次のステップはターゲットオーディエンスを定義することだと言う人がほとんどでしょう。でも多くのビジネスオーナーは、理想的な顧客が誰であるかは既によく理解しているケースが多いので(たとえば、eコマースビジネスは、特定の商品を特定のオーディエンスに販売することが多く、すべての人に販売するわけではありません)、第2のステップとしてオーディエンスの定義は適切ではありません。
この段階ではターゲットオーディエンスを定義する代わりに、オーディエンスをセグメント化して、さまざまなグループの関心に合わせてメッセージを送信できるようにしましょう。
リストのセグメンテーションをする上で使える要素は、購入行動、デモグラフィック情報、地理的位置、エンゲージメント、過去のインタラクション、ライフサイクルステージなど以外にも色々あるので、よくご検討ください。
最後に、メールリストを構築するためには、ランディングページやポップアップのサインアップフォーム、SNS投稿、ダウンロード可能なリソース、あらゆる種類のリードマグネットなど、複数の方法があります。でも個人のメールアドレスを簡単に提供してくれる人は多くないので、アドレスの確保には時間と労力がかかることを心に留めておいてください。
3. メールマーケティングプラットフォームを選ぶ
メールマーケティングキャンペーンを成功させるには、オーディエンスに確実にリーチし、目標達成のサポートをしてくれるメールマーケティングプラットフォーム(メールマーケティングツール、メールマーケティングサービス、メールマーケティングシステムとも呼ばれています)が必須です。
ほとんどのプラットフォームがリスト管理、自動化、テンプレート、パフォーマンストラッキングといった類似するコア機能を提供している中、自社に最適なシステムはどうやって選べばよいのでしょうか?いくつかのシステムを試してみて、必要な機能が揃っていて、現在のワークフローと統合でき、最高のコスパのツールを見つけることをお勧めします。
プラットフォームの選択をする際には、まずはとっかかりとして、主要プラットフォームの概要を説明しているこちらのMailtrapブログ記事をぜひチェックしてみてください。
なお最近のメール送信は以前より複雑になっています。絶えず進化するフィルター、GoogleやYahooなどのプロバイダーからの制限といった課題は、受信トレイ到達率を左右するので、これらに対応できるメールマーケティングシステムを選ぶようにしましょう。各システムがこれらに対応しているかを判断するためには、ユーザレビューを確認するなどして、きちんと調査を行いましょう。
4. コンテンツやコピーを作成する
メールコンテンツの作成は、おそらく最も注意して行うべきステップです。コンテンツを通して受信者に直接語りかけ、あなたが望んでいる行動を促しましょう。
コンテンツを作成するには、オーディエンスの各セグメント向けに、メールの件名、プレビューテキスト、メールコピーを準備します。
このステップは、もちろんメールマーケティングプラットフォームを選ぶ前に行うこともできます。でも、これらのプラットフォームのほとんどが今では高度なコンテンツ作成機能を提供しているため、それを活用すれば、毎回手動でメールのテンプレートやコピーを作る必要がなくなり、作業がはるかに簡単になります。
メールコピーを作る上でサポート助けが必要な場合は、専門家たちのアドバイスをこのLinkedInの記事でご覧ください。
5. 予約して、キャンペーンを始める
キャンペーンに必要なすべての要素の準備ができたら、最後のタスクは、送信スケジュールの決定です。
送信スケジュールは非常に重要な項目です。適切にスケジュールを組めば、受信者はいつあなたからのメール連絡があるかを予想できるようになり、マーケティング活動に一貫性が生まれます。でも、スケジュール管理はあなたの頭の中だけで行うのではなく、メールマーケティングプラットフォーム上で実装する必要があります。通常、システムには予約配信機能が備わっているので、それを利用しましょう。
6. 結果を監視する
キャンペーンの結果とは、オーディエンスがあなたのマーケティングメッセージにどのように反応しているか、そして目標達成にどれだけ近づいているかで表されます。データに基づいたメールマーケティングを行い、過去のキャンペーンから学び、より効果的な将来のキャンペーンを構築するためにも、結果の振り返りはとても重要です。
前述のように、キャンペーン結果はお使いのメールマーケティングプラットフォーム内で直接入手できます。通常、開封率、クリックスルー率、コンバージョン率、ROI、バウンス率、購読解除率などのメールマーケティング指標が含まれているはずです。
もちろん他の指標を活用することも可能です。目標にどれだけ近づいているかを理解するのに役立つ情報を特定して、その情報を含んだレポートを生成しましょうすることをオススメします。
下の表で、各指標の意味、計算方法、および目標値をまとめました。
指標 | 定義 | 計算式 | 目標値 |
開封率 | 特定のメールマーケティングキャンペーンに属する人の内メールを開封した人の割合。 | メール開封率 = (開封されたメール数 / 送信されたメール総数) * 100 | 20-30% |
クリックスルー率 (CTR) | メールを開封し、メッセージ内のハイパーリンク、CTA、または画像をクリックするなどのアクションを取った人の割合。 | CTR = (メールリンクのクリック数 / 送信されたメール数) * 100 | 2-5% |
コンバージョン率 (CVR) | メール内のリンクをクリックした後、目標アクション(購入、リード獲得など)を完了した人の割合。 | コンバージョン率 = (メールによるコンバージョン数 / 送信されたメール数) * 100 | 10-20% |
投資収益率 (ROI) | メールマーケティングキャンペーンが生み出した純利益。 | ROI = (キャンペーンが生み出した収益* – キャンペーン費用*) / キャンペーン費用 * 100 | 4000% (平均) |
*投資費用 = 当初の投資額
*キャンペーンが生み出した収益 = メールキャンペーンに起因するコンバージョンが生み出した総収益
*キャンペーン費用 = メールの作成、デザイン、送信にかかった総費用
7. テストして改善する
業界のトレンドは絶えず進化している上に、作成プロセスを完全にミスなしで終えるのは簡単ではありません。また他にもメールマーケティングキャンペーンの結果を左右しうる要因は沢山あるので、キャンペーンを完璧に成功させることは不可能といえるでしょう。ですが、これ自体は特に問題ではありません、
でもキャンペーンの成功度をできるかぎり上げるためには、キャンペーンを繰り返しテストし、改善する必要があります。
具体的には、デザイン、レイアウト、コピー、件名、プレビューテキスト、CTAなど、できるだけ多くのキャンペーン要素をテストしてみましょう。なお、最良のテスト方法はA/Bテストです。
様々なバージョンをテストし、どのバージョンが最も効果的か結果を比較してみましょう。その後、テストで得た洞察を生かしてメールを改良すれば、着実に結果の改善につながるはずです。
メールマーケティングキャンペーンの送り方
実際にキャンペーンを送信する方法についての簡単なチュートリアルを以下の通り作成しました。Mailtrapのメール配信システムを使って、手順を解説いたします。
ステップ1:サインアップし、ドメインを追加・認証する
ここをクリックしてサインアップします (GitHub、Google、Office 365、またはメールで登録できます)。それが済んだら、Mailtrapに移動し、「Sending Domains」(送信ドメイン) を選択してドメインを追加します。

その後、DNSレコードメニューが表示されるので、Mailtrapが提供するDNSレコードをドメインプロバイダーのDNSレコードにコピー&ペーストします。通常、これはドメイン設定メニューにあり、名称はプロバイダーによって若干異なります(例:GoDaddyではManage DNS)。
ドメインプロバイダーにレコードを追加したら、Mailtrapに戻り、「Verify All」(すべて検証) ボタンをクリックして、レコードが認証されるのを待ちます。
ステップ2:連絡先リストをインポートする
Mailtrap Homeメニューの「Contacts」(連絡先) をクリックし、「Import Contacts」(連絡先をインポート) ボタンを押します。

インポートの前に、メールリストを適切にサニタイズ(クレンジング)する必要があります。また、システムが正しく読み取れるように、連絡先フィールドをマッピングする必要もあります。それが完了したら、リストを保存します。
ステップ3:メールテンプレートを作成する
(このステップは任意です) Mailtrapではキャンペーン設定プロセスの一環としてメールテンプレートを作成できます。ただし、デプロイ前にテストはできないため、最初にテンプレートを作成・保存・テストするのが最善です。
「Templates」(テンプレート) メニューに移動し、「Create New Template」(新規テンプレートを作成) をクリックして、HTMLエディタまたはドラッグアンドドロップエディタを選択します。AIアシスタント機能や無料の画像ライブラリもご利用いただけるのが特徴です。

完了したら、テンプレートを保存してテストします。Mailtrapでは、サインアップ時に使用したメールアドレスにテストテンプレートが送られます。
注 テストメールは自分自身に送信するため、差し込みタグは機能しません。より包括的なテストが必要な場合は、Mailtrapのメール送信テストの利用をご検討ください。
ステップ4:キャンペーンを作成して送信する
「Email Marketing」(メールマーケティング) メニューに移動し、「Create New Campaign」(新規キャンペーンを作成) ボタンを押します。

ウィザードの指示に従ってキャンペーン詳細を入力し、「Continue」(続行) をクリックしてデザインステップに進みます。保存したテンプレートを選択し、パーソナライズのニーズに基づいて差し込みフィールドを追加します。

次に、メールリスト(先ほどアップロードしたもの)を追加し、「Audience」(オーディエンス) メニューで選択します。

オーディエンスを確認したら、キャンペーンの送信準備は完了です。すぐに送信する、後で保存する、または最大2週間先の送信予約するという選択肢があります。
メールマーケティングの費用
私が知ってる限りでは、通常メールマーケティングキャンペーンの実行には必ず費用がかかります。
DIYでキャンペーンを行うことにしても、ドメインとメールホスティング料金、リスト管理、テンプレート作成、パフォーマンストラッキングのためのツールへの投資など、費用が発生します。もちろん代理店を雇うよりもコストはかかりませんが、結果を出すためには時間、労力、そしてある程度の予算が必要です。
とはいえ、少なくとも小規模なメールマーケティングを行う場合は、最小限の投資で始められるでしょう。具体的には、基本的なツールとサービスの利用は月額約20~50ドルです。ただし、メールマーケティングを社内で行うか、代理店を使うか、一部をアウトソーシングするかによって費用は大幅に異なる可能性があります。
メールマーケティングにかかる費用の一般的な内訳は次のとおりです。
- 社内でメールマーケティングを実施 社内でメールマーケティングを行う場合、メールマーケティングプラットフォームのサブスクリプション(リストのサイズと機能に応じて月額約20~500ドル)と、キャンペーンの作成と管理のためのマーケティングチームメンバーの時間的投資が必要です。専任のメールマーケティングスペシャリストを雇う場合は、その人の給料も加味してください。
- フリーランサーまたはスペシャリストにアウトソーシング フリーランサーまたはスペシャリストと契約を結ぶと、戦略、コンテンツ、キャンペーン管理を代理店よりも安く依頼できます。目安として通常1時間あたり約25~150ドルの支払いが発生します。
- メールマーケティング代理店 メールマーケティング代理店は、戦略から実行までのフルサービスを提供しています。費用はニーズ、リストサイズ、キャンペーンの頻度によりけりですが、月額500ドルから5,000ドル以上となります。
推定コストを計算するには、次の式をお使いください。
総費用 = プラットフォーム費用 + (作業時間 × 時間単価) + 追加サービス費用
したがって、たとえば月額50ドルのメールプラットフォームを使用し、社内で20時間(時給30ドル)を費やし、一部のデザイン作業をアウトソーシング(200ドル)する場合、月額総費用は約850ドルになります。
影響力のあるインターネット起業家兼マーケティング専門家であるニール・パテル氏は、彼のブログ記事でメールマーケティングの費用について詳しく解説しているので、詳細についてはそちらも必ずご確認ください。
メールマーケティングの課題
しっかりとした戦略と魅力的なコンテンツがあっても、メールが購読者の受信トレイに届かなければ、すべての努力(そして費用)が無駄になってしまいます。だからこそ、優れたメール到達率の維持は、メールマーケティングにおける最大の課題であり優先事項の1つなのです。
到達率は技術的要因に左右される可能性があるため、効果的なメールキャンペーンを実行するには、それらを必ずきちんと理解しましょう。これらの要因の中で最も重要なものを以下に挙げます。
- 迷惑メール(スパム)フィルター 迷惑メールフィルターは、不要なメールを受信トレイから排除するのに役立ちますが、正当なマーケティングメールが迷惑メールフォルダに誤って送信されてしまうこともあります。これを防ぐには、メールをパーソナライズし、リストをクリーンに保ち、セールスをうかがわせる言葉遣いを避けてください。
- ブロックリスト ESP(メールサービスプロバイダー)は、スパム送信の疑いがあるIPアドレスまたはドメインのブロックリストを管理しています。ブロックリストに載らないようにするには、定期的にメールリストをクリーンアップし、センダースコアを監視し、強力な送信者レピュテーションを維持するために積極的な措置を講じてください。
- 送信者レピュテーション 送信者レピュテーションは、ISP(インターネットサービスプロバイダー)が過去のメールアクティビティに基づいて付与するスコアです。良好なレピュテーションを維持し、ブロックされたりスパム送信者として判断されたりするのを避けるには、オプトインした人にのみメールを送信しましょう。また、メールリストの購入を避け、関連性の高いコンテンツを作成しましょう。
- リスト管理 非アクティブまたは無効なアドレスに送信すると、バウンス率が上昇し、送信者レピュテーションが損なわれてしまいます。適切にリストを管理するためには、定期的に非アクティブな購読者を削除し、無効なメールを修正し、新規購読者にはダブルオプトイン方式を使用してください。
- 認証 SPF、DKIM、DMARCなどの認証プロトコルは、メールの信頼性を検証するのに役立ちます。到達率を向上させ、メールがなりすましとして判断されるのを防ぐためにも、これらのプロトコルが正しく設定されていることを確認しましょう。
- コンテンツの品質とフォーマット フォーマットが不適切なメールや、リンク切れや画像破損のあるメールは、迷惑メールフィルターをトリガーしてしまい、レピュテーションの損失につながる可能性があります。最善のメールパフォーマンスを得るには、適切にフォーマットされ、さまざまなメールクライアントやデバイス向けに最適化されたメールのみを送信しましょう。
- エンゲージメント指標 ISPはメールの関連性を判断するために開封率やクリック数などのエンゲージメント指標を監視しています。エンゲージメントを向上させ、フィルタリングではじかれたり、ブロックされたりするのを防ぐには、価値があり関連性の高いコンテンツを送るように心がけましょう。また、ぜひ効果的なセグメンテーションとパーソナライズをご活用ください。
メールマーケティングのベストプラクティス
この記事ではたくさんのトピックに触れましたが、最も重要な部分は最後に残してあります。それでは、メールマーケティングのベストプラクティスについて解説いたします。
ビジネスの種類やメールマーケティングの方法に関わらず、以下に挙げるベストプラクティスを実行すれば、キャンペーンが成功しやすくなるはずです。
- パーソナライズを省略しない 「田中様」などと受信者の名前をメールに明記するだけでなく、各受信者の関心に合わせて調整された動的コンテンツを使い、メールをパーソナライズします。マーケティングプラットフォームにはこのプロセスを自動化する機能が搭載されているので、ぜひ利用しましょう。高度なプラットフォームなら、閲覧履歴、誕生日、購入履歴などのデータをもとにパーソナライズできるはずです。ただし、メールの関連性を真に高める場合にのみパーソナライズを使うようにしてください。
- オーディエンスをセグメント化する オーディエンスの構築と同時に、デモグラフィック情報や場所などの基本的なデータをもとにセグメント化を始めます。セグメント化をさらに進めたい場合は、エンゲージメント、コンテンツの好み、購入履歴や閲覧行動に基づいてセグメント化します。AIツールを使うと、このプロセスが自動化されるので、より効率的かつ正確にセグメンテーションできます。
- 件名とプレビューテキストを最適化する 件名は内容を示唆しつつも、あまり多くを明かさないようにして、全角15~25字の長さを目指します。プレビューテキストに関しては、全角20~70字が適切でしょう。また、メールクライアントによりプレビューテキストが自動生成されないようにします。独創的なテキストを作り、関連する日付やイベントを追加して、タイムリーで魅力的なテキストにします。
- CTAを使用する 各メールに短いCTAを含め、「今すぐサインアップ」や「今すぐ始める」など直接的に行動を促すフレーズを取り入れましょう。すべてのCTAがメール全体のデザインと調和するようにしつつも、目を引く見た目のボタンまたはリンクを使って視覚的に目立つようにします。
- メールをモバイルフレンドリーにする レスポンシブでユーザーフレンドリーな体験を提供するために、メールがデスクトップとモバイルデバイスの両方で適切に表示されるようにします。送信する前に、すべての一般的な画面サイズでメールをテストし、プレビューしましょう。
- 「No-Reply」のアドレスを避ける トランザクション以外のメールでは、no-replyの送信者アドレスを避けましょう。購読者から貴重なフィードバックを収集するために、返信を有効にすることもご検討ください。
- メールを送信する時間を見極める 開封率を上げるために、CoScheduleのような調査結果に基づいてメール送信のタイミングを調整します。加えて、対象のオーディエンスにとっていつの送信が最も効果的かをテスト・分析して、送信時間を決定しましょう。
- 購読者リストを定期的にクリーンアップする IPレピュテーションを保護し、到達率を向上させるために、エンゲージしていない購読者やソフトバウンスとハードバウンスの問題を引き起こしている購読者を削除します。あるいは、非アクティブな購読者を「あまり頻繁に連絡しない」セグメントに入れるか、リエンゲージメントキャンペーンを試して彼らの関心を確認することもできます。
- 購読解除を容易にする EU一般データ保護規則の要件に従い、購読者が購読解除オプションを簡単に見つけて使えるようにします。ボタンを明確に配置し、小さなフォントを使うなどの欺瞞的な慣行は避け、ログインやアンケートのような不要なステップは避けましょう。
- メールのサインアップにダブルオプトインを使用する 新規購読者が本当に購読を希望していることを確認するために、サブスクリプションを開始する前に、確認リンクまたはコードを含む確認メールを送り、クリックまたは何かテキストを入力してもらうなど、確認ステップを追加します。
まとめ
この記事では、メールマーケティング初心者の皆さんの疑問にできるかぎり答えるよう最善を尽くしました。使えるすべてのメールの種類を深く掘り下げたわけではありませんが、メールマーケティングのとっかかりとして、またはさらなる調査を行う前の基礎知識の学習としてお役に立てれば幸いです。あなたのキャンペーンがうまくいくよう祈っております!
メールマーケティングが必要かどうか迷っている場合は、このトピックを詳しく扱った動画をご覧ください。
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